風立ちぬ。

恐ろしい作品でした。
時代そのものの恐ろしさ、価値観の差が意味を持たない恐ろしさ、
夢を追う事を許される貧富の差の恐ろしさ、
知らない間に自分の夢と誰かの生活や命が引き換えになっている恐ろしさ。
天才と添う事の恐ろしさ、自分の価値を知ってしまう恐ろしさ(個人的には最高の関係なんだけど)。
勝手に過去の美しいものにされてしまう恐ろしさ。
化けの皮は、綺麗すぎてとっても嘘つきです。しかし、今回は化かされないぞー…!

恐ろしすぎて整理が出来ていないけど、しかし。ものすごく良かったです。
整理が出来ていないというのは、受けた衝撃をどう自分の中に落とし込んで消化出来るか、
という部分で、まだ口の中でもぐもぐしてる段階ということ。
これをきちんと消化して栄養にするために、
あと何度かは観にいって、確かめないといけない気がします。いや、単純に観たいだけかも。誰か一緒に行こうよ。

しかし、重いー。
俺はこれを作った。堀越次郎はこう生きた。で、お前はどう思う?どうする?という問いを向けられたかのよう。
監督も、作品も、残酷すぎる!
でも、まあ、この真っ直ぐで正直な物作りの姿勢。
それを世に送り出すための、完成された化けの皮。
もぐもぐ中の今は、これだけでも充分。ありがとうございます。

あ、物議を醸していた主人公の声は、個人的には大正解でした。
ちょうど友人に似たような変態天才君がいるせいかもしれませんが、
自分の興味があること以外には無頓着な人間って、まさにあんな感じ。
あの声だったからこそ、アニメの一キャラクタではなく、
堀越+宮崎+庵野という、一人の天才的な変人というか狂人という像が完成されていたように思います。
他、人声効果音の迫力や、製図の夢と現実が混ざった表現、結婚式の色合いの美しさ、壊れる機体に合わせてばらばらと崩れる音楽。「一機」という呼び方の残酷さと美しさ、ひとつひとつが苦しくなるほどよかった。

次はいつ見に行こうかなー。
夏の終わりあたり、良いかもしれない。